伝えたい２０１９年５月沖縄

　5月15日、沖縄の施政権が日本に返還されて47年を迎えた。県民の願いは「即時無条件全面返還」であったことが改めて語られた。しかし、核密約が交わされ、米軍基地はそのまま残り、その上に自衛隊が配備された。そして今、与那国島、石垣島、宮古島、兄弟島の奄美大島への自衛隊配備が進む。沖縄本島での自衛隊も強化され、辺野古の海には日々埋め立て用土砂が投入されている。県民が求めた「核も基地もない平和な沖縄」は、ますます遠ざかる感がある。そんな中、豊下楢彦氏の「沖縄が国連の『軍縮アジェンダ』の担い手となり、国連軍縮部の地域センター設置などを通して世界の軍縮の要となるべきだ」との指摘（5/18）は、「万国津梁の邦」に通じる希望をもたらす。

　「改正」ドローン規制法が国会を通過した。前田哲男氏は「名目上は・・・東京五輪・パラリンピック時のテロ対策としているが、規制は一時的でなく恒久法である。秘密保護法などに続いた、一連のメディア規制に他ならない」と語り、装いを新たにした要塞地帯法だと警告する。しかし、全国メディアの報道は弱く、国会での議論も乏しかった。

一方、沖縄のメディアは敏感に報道し続けた。米軍への提供区域内で起きる事件・事故の取材がますます困難になる。沖縄の民意を無視して強行されている辺野古新基地建設工事の進捗状態を知ることができなくなる。日米地位協定や臨時制限区域を理由に市民の立ち入りを禁止する区域では、情報収集にドローン撮影が役立ってきた。今後、「知る権利」をどう保障するのか。

リバティー制度が緩和されて、米軍関係者の起こす事件や酒気帯び運転・交通事故が多発している。また、米軍基地が要因と考えられる有機フッ素化合物による土壌・湧き水・飲料水用ダムの汚染が次々と明らかになっている。基地の中に立ち入って調査できないもどかしさが募る。この理不尽は「国際的に一般的」な状態ではない。

沖縄県は、ドイツ、イタリア、イギリス、ベルギーの欧州4カ国の地位協定を調査し、その報告を県のHp［地位協定ポータルサイト］で公表している。本来なら、日本政府が行うべき調査である。日米地位協定の改定に向けて、市民も議員もこれを活用したいものだ。

ゆいま～る💛とやま沖縄つなぐ会は6月29日に、「主権なき平和国家－地位協定の国際比較から見る日本の姿」の著者である布施祐仁さんをお招きして、「日米地位協定の問題と国際比較」の講演会を行ないます。

日米地位協定の実態を富山で伝える一助となればと願っています。　　　　　　　

2019年6月4日　月桃子